グンバイヅル(軍配蔓、学名:Veronica onoei)は、オオバコ科クワガタソウ属の多年草。別名、マルバクワガタ。

従来の分類体系である新エングラー体系、クロンキスト体系では、クワガタソウ属はゴマノハグサ科に含められていた。

特徴

茎は地面を這って長く伸び、節からひげ根を出して広がる。葉はつる状の茎に対生して2列にならび、葉身は円形または広楕円形で長さ13-25mm、幅8-25mm、先端は円く、鋸歯は細かな円頭または鈍頭で、葉柄はごく短い。葉質はやや厚く、表面につやがある。

花期は7-8月。地面をはった茎の葉腋から長さ6-13cmになる花序が直立し、やや密に多数の花をつける。花柄は長さ1-1.5mmになり、花軸とともに柔らかい腺毛が生える。花柄の下に苞葉があり、線状披針形で花柄より少し長い。萼は深く4裂し、萼裂片は狭卵形でややとがり、淡緑色で腺毛が生える。花冠は径約8mmで漏斗状鐘形になり、4裂し、青紫色になる。雄蕊は2個、雌蕊は1個ある。果実は蒴果となり、倒卵状楕円形で平たく、長さ4-6mm、幅3-4mmで、先端はへこみ、縁に細かな腺毛が生える。種子は扁平で多数ある。

分布と生育環境

日本固有種。本州(群馬県、長野県)の浅間山付近、四阿山、志賀高原、美ヶ原などの限られた場所に分布し、高地の日当たりのよい礫地に生育する。

名前の由来

和名グンバイヅルは「軍配蔓」の意で、果実の形が軍配に似ることと、茎が蔓状になることによる。

種小名(種形容語)onoei は、明治初期の植物学者小野職愨 (1838 - 1890)への献名である。

保全状況評価

  • 絶滅危惧II類 (VU)(環境省レッドリスト)

(2017年、環境省)

ギャラリー

近縁の外来種

近縁種では、帰化種のセイヨウグンバイヅル Veronica officinalis L.がある。本種はヨーロッパ原産で、通常は観賞用または薬用として栽培されているが、岩手県葛巻町の牧草地脇で野生化したものが発見された。

脚注

参考文献

  • 牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
  • 加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
  • 門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』、2013年、山と溪谷社
  • 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 5』、2017年、平凡社
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  • 日本のレッドデータ検索システム
  • 岩手県立博物館だよりNo.147「発見の連続!岩手県の植物相調査」、2015年

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