マケドニア語(マケドニアご、マケドニア語: македонски јазик)は、主として北マケドニアで使用されている言語である。インド・ヨーロッパ語族スラヴ語派の南スラヴ語群に属する。
アレクサンドロス大王で有名な古代マケドニア王国で話されていた言語は古代ギリシア語のマケドニア方言であり、それとは異なる。
マケドニア語はブルガリア語と近縁で、セルビア・クロアチア語とも類似性がある。また、別系統のルーマニア語、ギリシア語、アルバニア語などとも共通の特徴があり、バルカン言語連合と呼ばれる。
マケドニア語は北マケドニアとアルバニア(2019年~)の公用語である他、セルビア、モンテネグロ、ギリシャでも一部で使われている。
記述の際にはキリル文字を使用する。文章語が成立したのは第二次世界大戦直後でありヨーロッパの言語としては新しい。
「マケドニア語」という名称にはギリシャとブルガリアの両方からクレームがある。ギリシャ側はマケドニア名称論争に関連して「マケドニア語」という言語名を問題視することがあったが、2019年の両国合意でギリシャ側は言語名の「マケドニア語」を容認するようになった。一方、ブルガリア側は「マケドニア語」を独立した言語ではなく、ブルガリア語の一方言とみなし、両国の国際関係および北マケドニアのEU加盟交渉などの政治面にも影響を及ぼす。
マケドニア語で使われるキリル文字
文法
名詞
マケドニア語の名詞には、男性・女性・中性の3つがある。性の区別は語尾の形によって判断される。
- 男性名詞:ほとんどが-子音字で終わる
- 例)автобус(バス) весник(新聞) леб(パン) човек(人)
- 女性名詞:-аで終わる
- 例)музика(音楽) книга(本) книжарница(本屋) маса(机)
- 中性名詞:-оまたは-еで終わる
- 例)писимо(手紙) дете(子ども) кафе(コーヒー) училиште(小学校)
名詞の複数形
◎男性名詞
男性名詞の複数形は以下の4つの変化形に分けられる。
- 子音字で終わるほとんどの男性名詞には、語尾に-иが付けられる。
- ただし、-к, -г, -хで終わる男性名詞は、それぞれ -к ⇒ -ц -г ⇒ -з -х ⇒ -с へと変化させてから-иを加える。
- 例)учебник—учебници(教科書) прилог—прилози(形容詞) успех—успеси(成功)
- また、単数形とは全く異なる変化をする男性名詞複数形もある。例)човек—луѓе(人)
- 語尾が-aで終わる男性名詞はまれだが、-aが脱落して-иが付けられる。
- 一音節しかない/一つの単語に母音が一つしかない男性名詞には、語尾に-ови, -евиが付けられる。
- 例)парк—паркови(公園) чај—чаеви(お茶) број—броеви(数)
- 例外中の例外)брат—браќа(兄/弟)
- -oで終わる男性名詞(主に親族関係の言葉)は-овциが付けられる。
- 例)татко—татковци(父) дедо—дедовци(祖父)
◎女性名詞
語尾の-aを-иに変化させる。例)куќа—куќи(家) мајка—мајки(母) ќерка—ќерки(娘)
◎中性名詞
中性名詞の複数形は以下の3つの変化形に分けられる。
定冠詞
マケドニア語の定冠詞は、名詞の語尾に直接接がれる後置冠詞である。定冠詞の形の種類は以下の4つである。ヨーロッパにおける多くの言語の定冠詞が、名詞の性・数に従うのに対し、マケドニア語においては名詞の性・数ではなく語尾の文字に依拠する特徴がある。
脚注
関連項目
- マケドニア文語文法 (書籍)
- 古代教会スラヴ語
外部リンク
- Ethnologue report for language code mkd (英語) - エスノローグ




